AEO関連のツールや資料で、「言及率◯%」という表現を見かけたことはないでしょうか。結論としては、言及率は「複数回質問したうち、自社が回答に登場した割合」を示す分かりやすい指標である一方、分母の取り方や言及された文脈の質までは表さないため、単独ではなく他の記録と組み合わせて扱うべき指標です。以下、言及率の基本的な考え方と、注意しておきたい点を整理します。

言及率とはそもそも何を数えているのか

同じ質問を10回繰り返して、自社名が回答に登場したのが7回であれば、言及率は70%というように数えます。AI検索での「順位」はどう計測すればいいのかで扱った出現頻度は、呼び方が違うだけで、ほぼ同じものを指していると考えて差し支えありません。単純な割り算なので、計算式が分からず困るということもありません。分かりやすい数字に見えます。ところが、この分かりやすさは、分母をどう決めるかによって簡単に姿を変えます。

分母をどう決めるかで数字が変わる

同じ自社について調べているはずなのに、質問セットが違えば言及率も変わります。5回だけ試した結果と、50回試した結果とでは、たまたま数回だけ言及された場合の重みがまったく違ってきます。さらに、AIにどんな質問をされそうかを想定する方法で整理したとおり、指名検索に近い質問と業界名からの質問とでは、そもそも言及されやすさの傾向が異なります。どの階層の質問を何回分母に含めるかを決めないまま算出された言及率は、他社の数字や過去の数字と単純に比べられるものではありません。

言及率だけでは見えないもの

言及率70%と聞くと、まずまず健闘しているように見えるかもしれません。ただ、その70%の中身が、事業内容を淡々と説明されているだけなのか、強みまで添えて紹介されているのかは、この数字からは分かりません。指名検索でAIは何を答えるのかで触れたとおり、「知っている」と「好意的に語る」は別の話です。言及率は前者しか数えていない、という前提を忘れると、数字が上がっただけで安心してしまう場面が出てきます。

独自スコアとは何が違うのか

言及率は、複数の要素を重み付けして合成した数字ではありません。登場した回数を数えているだけなので、算出の過程自体は誰が見ても再現できます。この点は、AEOの独自スコアはなぜ分かりにくいのかで扱った、算出根拠が公開されない独自スコアとは性質が異なります。とはいえ、言及率が透明であることと、言及率だけで実態を十分に説明できることは、別の話です。AEOの効果はどう測定すればいいのかでも触れたとおり、言及の有無・文脈・相対的な位置づけを併せて記録して、はじめて実務で使える形になります。

言及率を実務でどう使うか

単月の言及率だけを見て一喜一憂するより、月ごとの推移として眺めるほうが、この数字の使い方としては向いています。あわせて、競合とのAI上での見え方をどう比較すればいいかで扱ったように、競合の言及率も同じ質問セットで並べて記録しておくと、自社の数字が業界全体の傾向の中でどのあたりに位置するのかが見えやすくなります。単体の数字より、時系列と相対比較、この2つの軸を添えたほうが判断材料としての厚みが増します。

言及率を追いかけすぎないために

言及率という分かりやすい数字があると、この数字を上げること自体が目的になってしまう瞬間があります。ですが、言及率が高くても、語られる内容が薄いままでは意味がありません。数字を追いかける前に、まず何を確認するための指標なのかを見失わないようにしたいところです。

よくある質問

Q. 言及率は何回くらい質問して算出すればいいですか。
A. 決まった回数はありませんが、5回から10回程度を目安に試し、傾向が安定して見えるかを確認するのが現実的です。

Q. 言及率が低い場合、何から確認すればいいですか。
A. ChatGPTに自社が表示されないで整理した、情報がないのか参照されにくいだけなのかという切り分けから始めることをおすすめします。

Q. ツールが自動算出した言及率は、そのまま信用していいですか。
A. 算出に使った質問セットや回数が明示されているかを確認したうえで参考にするのが安全です。明示されていない場合は、AEO/LLMO計測ツールを比較する際に見るべきポイントも参考にしてください。