競合他社がAIにどう扱われているか、気になったことはないでしょうか。結論としては、自社単体の調査だけでは「その変化が自社固有のものか、AI全体に共通する動きなのか」を見分けられないため、同じ質問セットを競合にも投げて並べて記録することが、比較の実務的な進め方になります。以下、何を基準に比較すればいいのかを整理します。
なぜ自社単体の調査では足りないのか
自社の指名検索を月次で記録している。それだけで、もう十分な気になってしまう瞬間があります。ところが、先月より言及が減ったという記録を前にしたとき、原因を自社側の要因だけに求めてしまうと、判断を誤ることがあります。AIの回答は、モデルの更新や学習データの入れ替わりなど、こちらで制御できない要因によっても変わりうるからです。自社の数字だけを見ていては、これが自社固有の変化なのか、AI全体に起きている傾向なのかを切り分けられません。だから、比較対象が要ります。
単体で聞くのと、比較の文脈で聞くのは別の質問
指名検索でAIは何を答えるのかでも触れたとおり、自社名を単体で尋ねる質問と、「〇〇業界のサービスを教えてください」のように競合と並ぶ形で尋ねる質問とでは、返ってくる答えの傾向が異なる場合があります。単体では丁寧に説明されるのに、比較の文脈になると名前が挙がらない。この現象自体は珍しくないようです。だとすれば、比較調査で見るべきは自社の言及の有無だけでなく、同じ比較質問の中で競合各社がどう扱われているかという相対的な位置づけになります。
何を記録すれば比較になるか
記録する項目自体は、AEOの効果はどう測定すればいいのかやAI検索での「順位」はどう計測すればいいのかで挙げた項目と大きくは変わりません。質問文、実施日、自社の言及有無と言及順、そして競合各社の言及有無と言及順。この5点を同じ質問・同じ回で記録するだけで、単体調査にはなかった比較の軸が一つ増えます。競合を何社入れるべきか、最初は迷うところかもしれません。ひとまずは直接の競合2〜3社から始め、必要に応じて増やしていくくらいで十分です。
業界全体の傾向か、自社固有の変化かを見分ける
自社の言及が減った。施策が裏目に出たに違いない、と考えたくなります。ところが同じ時期の記録を競合分も並べてみると、主要な競合も軒並み言及が減っていた、ということがあります。そうなると、原因は自社の施策よりも、AIモデルの更新や情報源の入れ替わりといった、業界共通の要因にある可能性のほうが高くなります。逆に、競合は横ばいで自社だけが下がっていたのであれば、自社固有の要因を疑う根拠が強まります。競合の記録は、いわば自社の変化を読むための物差しの役割を果たします。
比較した結果をどう使うか
比較の目的は、競合を出し抜く言い回しを探すことではありません。自社の立ち位置を、より正確な文脈の中で理解することです。競合と並べて挙げられる質問で自社だけ名前が挙がらない状況が続いているなら、AIにどんな質問をされそうかを想定する方法に立ち返り、想定質問の設計自体を見直す材料になります。手作業での継続比較が負担に感じられる場合は、AEO/LLMO計測ツールを比較する際に見るべきポイントで挙げた観点を踏まえて、複数ブランドの記録に対応したツールの利用を検討する余地もあります。
比較のしすぎで見失いがちなこと
競合を増やせば増やすほど、比較は精緻になるように感じられます。ただ、10社、20社と対象を広げていくと、記録の負担が増すだけでなく、どの差が意味を持つのかがかえって見えにくくなることがあります。目指すべきは競合の数字を上回ることではなく、自社の変化がどんな文脈の中で起きているかを理解することです。比較は、そのための補助線であることを忘れずにおきたいところです。
よくある質問
Q. 競合は何社くらい入れて比較すればいいですか。
A. 決まった目安はありませんが、まずは直接の競合2〜3社程度から始め、必要に応じて追加していく進め方が無理がありません。
Q. 競合の情報をAIに尋ねること自体に問題はありませんか。
A. 一般公開されているAIサービスに、一般的な質問文を投げて回答を確認するだけであれば、通常の情報収集の範囲内と考えられます。
Q. 比較した結果、競合が有利に見えた場合はどうすればいいですか。
A. 焦って対策を打つ前に、複数回・複数の質問パターンで確認し、一時的な揺らぎではないかを見極めることをおすすめします。