自社名や商品名を、試しにChatGPTやClaudeに聞いてみたことがあるでしょうか。結論としては、指名検索でAIが何を答えるかは、従来の検索エンジンで自社名を検索したときの表示結果とは別の観点で確認する必要があり、「言及されたかどうか」だけでなく「どんな文脈で語られたか」までを継続的に記録していくことが、ブランド名調査としての実務的な進め方になります。以下、具体的に何を見ていけばいいのかを整理します。
指名検索という言葉をAI検索に当てはめると何が変わるか
指名検索といえば、これまでは検索エンジンに社名やサービス名をそのまま打ち込み、公式サイトが1位に表示されるかどうかを確認する作業でした。表示順位という決まった物差しがあったからこそ、確認作業も単純だったわけです。ところがAIチャットサービスに同じ社名を尋ねてみると、返ってくるのは順位のついた一覧ではなく、文章としての説明です。物差しの形が変わった以上、確認の仕方も変えるしかない、というのがまず押さえておきたい前提になります。
AIは指名検索にどう答えているのか
実際に社名を尋ねてみると、いくつかの答え方に分かれる傾向が見られます。会社概要をそのまま説明するように答える場合、事業内容や強みを添えて紹介するように答える場合、そして情報が乏しいのか、当たり障りのない一般論に終始する場合です。ChatGPTに自社が表示されないで扱った「情報がないのか、参照されにくいだけなのか」という切り分けは、指名検索でもそのまま当てはまります。答え自体が薄いようであれば、まずはこの切り分けから確認するのが順当です。
「知っている」と「好意的に語る」は別の話
社名を尋ねて何かしらの説明が返ってきた時点で、一安心してしまいそうになります。ただ、ここで立ち止まっておきたいことがあります。存在を認識されていることと、好意的に語られていることは、別の話だという点です。事業内容を淡々と説明されるだけの場合もあれば、強みや評判にまで触れて語られる場合もあります。前者で満足してよいのか、それとも後者を目指すべきなのか。この判断は業種やフェーズによって変わるため、一律の答えはありません。少なくとも、答えの有無だけを見て終わりにはできない、ということは言えそうです。
表記ゆれが調査結果を左右する
正式社名、通称、ローマ字表記、旧社名。指名検索の対象になりうる表記は、思っている以上に複数あるものです。どの表記でAIに尋ねるかによって、参照される情報の一致度が変わり、結果として答えの厚みも変わってくる可能性があります。1つの表記だけで確認して「言及される」「されない」を判断するのは早計かもしれません。複数の表記を並べて試し、どの表記であれば答えが厚くなるのかを見ておくと、自社サイトの表記統一が本当に効いているのかどうかの手がかりにもなります。
競合と並べて聞かれたときの答え方も見ておく
社名単体で尋ねる質問に加えて、「〇〇業界のサービスを教えて」のように、競合と並べて挙げられる形の質問も試しておきたいところです。単体では丁寧に答えてもらえるのに、比較の文脈になると名前が挙がらない、という傾向が見られることもあります。だとすれば課題は、自社の情報が乏しいことではなく、「どの文脈の質問に対して自社が候補として想起されるか」という結びつきの弱さにある可能性が高くなります。AIにどんな質問をされそうかを想定する方法で扱った質問設計は、この確認作業でもそのまま流用できます。
定点観測としての指名検索チェック
ここまでの確認を一度やって終わりにするのは、もったいない使い方です。AIの回答はモデルの更新や生成のばらつきによって変わりうるため、単体表記・表記ゆれ・比較文脈という3種類の質問を、月次など無理のない頻度で繰り返し、変化を記録していくほうが実態に近づけます。AEOの効果はどう測定すればいいのかやAI検索での「順位」はどう計測すればいいのかで扱った記録の考え方は、指名検索の定点観測にもそのまま当てはまります。手作業で続けるのが難しいと感じる場合は、AEO/LLMO計測ツールを比較する際に見るべきポイントで挙げた観点を参考に、継続記録を代行してくれるツールの利用を検討する余地もあります。
よくある質問
Q. 指名検索でAIに全く言及されない場合、何をすればいいですか。
A. まず「情報がないのか、参照されにくいだけなのか」を切り分けることをおすすめします。自社サイトの情報量や表記の統一状況を確認したうえで、複数の表記・複数の質問文で試し直してみてください。
Q. 競合と比べて自社への言及が薄い場合、焦って対策すべきですか。
A. 一度の結果で焦る必要はありません。AIの回答は変動しうるため、まずは同じ質問セットで継続的に記録し、傾向として差があるのかどうかを確認してから対応を検討するのが無難です。
Q. 指名検索の調査は自社の担当者だけでもできますか。
A. 可能です。複数のAIサービスに手動で質問し、結果を記録する方法から始められます。継続や比較の手間を減らしたい場合は、調査を代行するツールの利用も選択肢になります。