AI検索に、検索順位に相当する指標はあるのか。結論としては、SEOの検索順位のような固定された指標は存在しませんが、回答の中での言及される順番や、同じ質問を繰り返した際にどのくらいの頻度で登場するかという2つの視点を組み合わせることで、順位に近い感覚をつかむことはできます。以下、それぞれの視点について整理します。
検索順位という言葉に引っ張られすぎない
AI検索について調べ始めると、つい「AI検索での順位」という言葉を無意識に使ってしまいます。ですが、この言葉自体が、従来のSEOの発想をそのまま持ち込んでしまっている証拠でもあります。存在しないかもしれない指標を、存在するかのように扱ってしまうと、かえって実態を見誤ります。まずは、順位という言葉が本当に当てはまる状況なのかどうかを、一度疑ってみることから始めたいところです。
そもそも「順位」とは何だったのか
検索順位という指標が便利だったのは、1位、2位という形で、複数のページの相対的な位置づけを一目で比較できたからです。AIの回答にも、複数の候補が挙げられる場面はあります。「おすすめのサービスを3つ挙げてください」といった質問であれば、回答の中に複数の候補が並ぶことになります。この並び方が、検索順位にいちばん近い形の情報だと考えられます。
回答内での言及順という視点
複数の候補が挙げられる回答では、先に挙げられるか後に挙げられるかで、扱われ方に差があるように見えることがあります。ただし、この並び順が重要度を反映しているのか、単なる文章生成上のばらつきなのかは、公開情報からは判断できません。1回の回答だけで結論づけず、同じ質問を条件を変えて複数回試し、並び順に一貫した傾向があるかどうかを確認する必要があります。
繰り返し質問したときの出現頻度という視点
もう一つの視点は、同じ質問を何度も繰り返したときに、自社がどのくらいの頻度で登場するかです。毎回登場するのか、10回に1回程度なのか。この頻度は、検索順位そのものではありませんが、AIの回答の中でどれだけ安定して候補に挙がっているかを示す代わりの目安にはなります。ChatGPTに自社が表示されないでも触れたとおり、AIの回答は一度の結果だけでは判断できない性質を持っているため、この繰り返しの作業そのものが計測の一部になります。
1位を目指す、という発想からいったん離れる
検索順位に慣れていると、つい1位を目指すという発想で考えてしまいがちです。ですが、AI検索の世界にそもそも固定された1位という概念があるのかどうかも、実はまだはっきりしていません。目指すべきは特定の順位ではなく、複数の質問パターンで安定して候補に挙がるようになること、というくらいの緩やかな目標設定のほうが、この分野の性質には合っているのかもしれません。
記録の仕方
言及順と出現頻度、この2つを組み合わせて記録する場合、質問文・実施日・言及の有無・言及順・簡単なメモ、といった項目をスプレッドシートなどに残しておくと、あとから振り返りやすくなります。AEOの効果はどう測定すればいいのかで扱った記録の考え方と、基本的には同じ枠組みで運用できます。特別なツールを使わなくても、地道な記録の積み重ねで代わりの指標を作ることは可能です。
質問の種類によって傾向が変わることも
指名検索に近い質問と、業界名からの質問とでは、言及順や出現頻度の傾向が違って見えることがあります。片方の質問だけを見て一喜一憂するのではなく、AIにどんな質問をされそうかを想定する方法で整理した複数の階層ごとに、それぞれの傾向を分けて記録しておくと、どの階層で強く、どの階層で弱いのかが見えやすくなります。
数字に置き換えたくなる気持ちとの付き合い方
言及順や出現頻度を、無理やり一つの数字やスコアに合成したくなる場面があるかもしれません。分かりやすく見せたい、比較しやすくしたい、という動機は自然なものです。ただし、性質の異なる複数の情報を一つの数字に押し込めると、その数字が実際に何を意味しているのかが見えにくくなります。生のデータのまま、複数の軸で確認しておくほうが、判断を誤りにくいと考えられます。手間はかかりますが、言及順と出現頻度をそれぞれ別々に眺めるほうが、一つに合成された数字を見るよりも、次に何をすべきかのヒントが多く残ります。
よくある質問
Q. 出現頻度は何回くらい試せば信頼できますか。
A. 決まった回数はありません。まずは5回から10回程度試してみて、傾向が安定して見えるかどうかを確認するところから始めるのが現実的です。
Q. 言及順は本当に重要度を表していますか。
A. 断定はできません。重要度を反映している可能性はありますが、生成のばらつきによる可能性も否定できず、公開情報からは判断できない部分です。
Q. この方法で競合との比較もできますか。
A. できます。同じ質問セットで自社と競合の言及順・出現頻度を並べて記録すると、相対的な位置づけを把握する材料になります。